我らTPOが初めて世に奏でる曲目となったのは、歌劇の序曲、つまり幕開け前に流れる音楽である。場面を想像されたい。
まだ少し場内のザワメキが残り、遅れて着いた客が自分の席をさがしている。薄暗いオケピットの中で、スモールライトに照らされた細かい譜面を演奏するオケのメンバー。
幕が開くとどんなに華麗なロココ調の大広間が現れるのか?今宵の演出はどんなにラディカルに仕上げられているのか?お目当てのプリマドンナののどの調子は?そんな期待と不安が混在したワクワクした気分で幕開けを待つ。今後のTPOの活動もそんな風に迎え入れていただきたい。
歌劇「フィガロの結婚」は、フランスの劇作家ボーマルシュの作をダ・ボンテが台本化したもので、1786年5月1日、ウィーンの宮廷劇場で初演された。今宵演奏する序曲は、ニ長調プレスト。いかにもドタバタ喜劇の幕開けにふさわしいもので、オペラそのものを御覧になられた方には、登場人物の各キャラクターや場面が、この短い序曲の随所に見え隠れするのを楽しむことも出来よう。
では、始まり、始まりぃ。
M.O.