スカンディナヴィア半島の東に位置し、ロシアと国境を接するフィンランドは、1917年に独立を果たすまで、100年以上もの長きに渡り、ロシア帝国に支配されていました。
1899年には立法権を制限、1900年には行政府内でのフィンランド語の使用が禁止になり、更には1901年に自国軍を廃止されます。
そのような時代にあって、フィンランドでは独立への機運が高まっていきます。
当時30代半ばであったシベリウスは、新聞社主催による舞台で劇付随音楽を依頼され、1899年の11月に「歴史的情景(いにしえからの歩み)」第1番という、前奏曲に続いて6曲からなる組曲を作ります。
この最後の曲「フィンランドは目覚める」は好評で翌年(1900年)の7月2日に「フィンランディア」として初演されました。
主に金管楽器による短調のジャン・シベリウス 序奏から中間部では、木管楽器の美しい旋律へ音楽は転換します。この部分 には、1941年に詩人のヴェイッコ・アンテロ・コスケンニエミにより愛国心に溢れ、支配が長くは続かない事を意味する歌詞がつけられ、シベリウスが合唱用に編曲しています。
フィンランドでは、現在も国歌に次ぐ第二の愛国歌として広く歌われているようで、フィンランド出身の映画監督レニー・ハーリンが彼の代表作である「ダイ・ハード2」のラストで用いているのは有名です。
曲は最後に快活さを伴って終わりますが、時間にして、7分から8分に満たないこの曲の構成は、何度聴いても、また、演奏していても飽きる事がありません。
ホルン Y.T