バレエ「白鳥の湖」は、ポリジョイ劇場より依頼されたチャイコフスキー(1840-1893)が、ドイツの作家ムゼウスによる童話「奪われたヴェール」を元に作曲した。今でこそ、「眠れる森の美女」、「くるみ割り人形」と共に三大バレエとして親しまれている「白鳥の湖」であるが、初演時は踊り手、指揮者に恵まれず酷評を受け、結局チャイコフスキーの生前に陽の目を浴びることはなかった。その後、プティパとその弟子イワノフにより改造され、チャイコフスキーの死後2年目にされた蘇演では好評を博している。
本日は「白鳥の湖」全29曲のうち、6曲をセレクトしてお送りします。以下ストーリーを追いつつお楽しみいただければと思います。
(一部、本日の演奏と曲順が異なります)
序奏 (本日1曲目)
オデットが花畑で花を摘んでいると悪魔ロッドバルトが現れ白鳥に変えてしまう。
物悲しげなオーボエの旋律が特に印象的で、この主題はチェロ、ヴァイオリンに引き継がれ次第に盛り上げられる。
第1幕 城の前の庭園
ジークフリート王子の21歳の誕生日、お城の前庭には王子の友人が集まり祝福の踊りを踊っている。母から明日の王宮の舞踏会で花嫁を選ぶように言われるが、まだ結婚したくない王子は物思いにふけり白鳥が住む湖へ向かう。
ワルツ (本日3曲目)
王子の求めで村娘たちが踊るコール・ド・バレエである。弦楽器のピッチカートによる前奏の後、ワルツのリズムに素朴で優美な旋律が始まる。
第2幕 山を背にした湖のほとり
悪魔の呪いで姿を変えられた白鳥たちの中で、ひときわ美しいオデット姫に王子は惹きつけられる。彼女の呪いを解きたい王子は明日の舞踏会に来るようオデットに言う。
情景 (本日2曲目)
ハープのアルペジオと弦楽のトレモロに乗って、オーボエが白鳥の主題を奏でる。これは、「白鳥の湖」を代表する最も有名な旋律であり、全幕を通じて繰り返し演奏される。
四羽の白鳥たちの踊り(本日4曲目)
ファゴットを伴奏に乗って、あの有名な旋律がオーボエやフルートによって演奏される。
第3幕 舞踏会の会場
舞踏会の会場で王子は花嫁として、オデットに似せた悪魔の娘オディールを選んでしまう。
ハンガリーの踊り(本日5曲目)
第3幕で演奏される各国の民族舞曲のうちの1つ。
第4幕 湖のほとり
破られた愛の誓いを嘆くオデットに王子は許しを請う。激しい戦いの末、王子は悪魔を討ち破るが、白鳥たちの呪いは解けない。絶望した王子とオデットは湖に身を投げて来世で結ばれる。
情景・フィナーレ(本日6曲目)
全曲の中で最もドラマチックな1曲。オーケストラ全奏による白鳥の主題は王子とロッドバルトの戦いを表している。その後、金管楽器が力強く演奏する長調の白鳥の主題は、二人の死を超えた愛の力が悪魔を征服したことを暗示する。
Y.M.