曲目紹介

ヨハン・シュトラウス2世 喜歌劇「こうもり」序曲 作品367


J.シュトラウス2世はすでにウイーンの作曲家とし て著名であった父 J.シュトラウスの長男として1825 年に誕生。音楽を学ぶことに反対していた父の考え で経済学を専攻した。その後父が家庭を顧みなくな ってから、天性の音楽の才能を発揮、多くの名曲を 生み出しついには父と人気を二分するまでになりワ ルツ王ポルカ王とし大人気の作曲家となった。ブラ ームス、リスト、ワーグナーとの親交も深く、晩年 オフェンバックの勧めでオペレッタを手がけること となりこの《こうもり》に着手する。
株の大暴落など重苦しい社会情勢に見舞われた世 紀末のウイーンであえて陽気に人生を楽しむべしと のメッセージに溢れた彼の作品は多くの人々を魅了 し大成功を収めた。
舞台はオーストリアのある仮装舞踏会の帰り道、 アイゼンシュタインは酔ったファルケ博士を「こう もり姿」のまま道端に置き去りにした。以来、ファ ルケは皆から「こうもり博士」と呼ばれ、いつかア イゼンシュタインに仕返しをしたいと考えていた。
この日、アイゼンシュタインは公務員を侮辱した 罪で刑務所に入らなければならなくなる。そこへフ ァルケ博士はパーティがあるので刑務所に入る前に 行こうと誘う。喜んだアイゼンシュタインはすぐさ ま了承し上辺は悲しそうに振る舞いつつ内心は嬉々 としパーティに出かける。その妻ロザリンデも恋人 アルフレートとの逢引に心踊らせつつアイゼンシュ タインに負けず劣らず別離を嘆くふりをするが、ど うにも嬉しさを抑えきれない。そんなロザリンデの ところに、アルフレートがやって来る。そこへ刑務 所長がアイゼンシュタインを連行しにやってきたが アルフレートをアイゼンシュタインと間違え連行し てしまう。
その晩のパーティ。アイゼンシュタインは、仮面 を付けた美しいハンガリーの貴婦人に夢中になり口 説こうとする。実はこの貴婦人は彼の妻ロザリンデ。 ロザリンデは口説かれるふりをしながら、アイゼン シュタインの懐中時計を奪う。素晴らしい宴、喜び のワルツの調べに皆が酔いしれていると夜明けを告 げる鐘が鳴り出す。慌ててアイゼンシュタインが刑 務所に出頭してみると、自分の代わりに見知らぬ男 が牢屋に入っている。アイゼンシュタインが弁護士 に変装して様子を伺っていると、ロザリンデがやっ て来て、アルフレートを牢から出してほしいとアイ ゼンシュタイン扮する弁護士に相談を始める。怒っ たアイゼンシュタインが正体を明かし、妻を責め立 てると、ロザリンデは昨夜奪った懐中時計を見せる。
そこへ「こうもり博士」ことファルケが登場、ア イゼンシュタインに全てを明かし復讐は大成功に終 わった。この序曲は劇中に登場する数々の楽しい曲 をちりばめた抜粋曲です。

T.K..


© 東芝フィルハーモニー管弦楽団 2007