1.闘牛士 (第1組曲より)
2.プレリュード (第1組曲より)
3.アラゴネーズ (第1組曲より)
4.インテルメッツォ (第1組曲より)
5.アルカラの竜騎兵 (第1組曲より)
6.ハバネラ (第2組曲より)
7.行進曲と子供たちの合唱 (第2組曲より)
8.ジプシーの歌 (第2組曲より)
カルメンは今日最もポピュレーな曲の一つでありますが、意外なことに1875年 パリ、オペラ・コミック座で行われた初演は極めて不評で終わっています。あまりに生々しく、スキャンダラスなストーリとビゼーの斬新な音楽にパリの聴衆はついていけなかったようです。そしてビゼーは初演3ヶ月後に心臓発作(扁桃腺炎と言う説もある?)でオペラの成功を知らぬまま37歳の若さでこの世を去ってしまいます。
ビゼーの死後、友人のエルネフト・ギローがコミック・オペラの特徴である台詞の部分をレチタティーヴォに置き換えグランド・オペラに改作し、さらにこのオペラとは無関係のビゼーのバレー音楽を挿入した版をウィーンで上演し大成功を収め、その後世界中で人気を博していきます。
歌劇「カルメン」は全4幕からなりますが、第1組曲は前奏曲と間奏曲を集めたもの、第2組曲は劇中の名曲を管弦楽演奏会用に編曲したものです。
セビリヤのとある広場、遠くから衛兵の行進の音が聞こえてきます。2人のラッパ手と2人の横笛手を先頭にした衛兵たちに続いて、町の腕白小僧たちがふざけて衛兵の行進のまねをしてついてきます。衛兵の交代の儀式の後、再びラッパの合図で衛兵たちは遠ざかっていきます。この最初の場面の曲が第2組曲の「行進曲と子供たちの合唱」です。
広場にはタバコ工場があり、昼休みに女工たちが外へ出てくるのを町の男たちが待ち受けています。女たちがぞろぞろと出てき、最後にカルメンが胴着にアカシアの花束を着け、花の一輪を口にくわえて登場します。ここで歌われるのが有名な「ハバネラ」です
恋は言うことを聞かない小鳥
飼い慣らすことなんか誰にもできない
恋はジプシーの生まれ
あたしに好かれたらあぶないよ!
と歌い、広場にいた伍長のドン・ホセに花を投げつけます。
その後気性の激しいカルメンは喧嘩で仲間にけがを負わせ、ホセが監獄へ連行することになりますが、途中彼女に惑わされたホセはカルメンを逃がしてやります。
第2幕酒場の場面、カルメンと女友達が店の曲の将校達のために踊るのが第2組曲最後の「ジプシーの歌」です。
一度はホセを好きになったカルメンですが、生真面目なホセに愛想を尽かし、今は闘牛士エスカミーリョに首ったけです。カルメンを諦めきれないホセは復縁を迫りますが、カルメンにその気はなく、ついにホセがカルメンを刺し殺してしまうところで劇は幕となります。
ビゼーはパリで生まれ、幼いときから才能を発揮し9歳でパリ音楽院に入学した天才で、色彩感覚にあふれた作曲家です。
じつはTPOにとってフランス音楽を定期演奏会で取り上げるのは今回が初めてで、繊細微妙なニュアンスがどこまで表現できるか、今までとちょっと違ったTPOをお楽しみ下さい。
Y.T.